新着情報
2023.11.13
関東信越税理士会 新潟支部では、支部ホームページを通じ、一人でも多くの方に税理士という職業に興味を持っていただき、魅力を知っていただくために、新潟支部で活躍している会員のインタビューを掲載しています。
なぜ税理士になったのか?
税理士として、どんな働き方をしている?
税理士の仕事のどこが好き?
税理士の仕事を続けていくためには、どんなことを大事にしている?
そんな質問をぶつけつつ、税理士という職業の魅力について、色々語ってもらうという企画を、複数回に渡ってお届けします。多様性の大切さが叫ばれる今、こちらのインタビューも、性別・働き方など、なるべく幅広いところから話を聞いていきたいと思っています。
第3回目は、2年前に独立した気鋭の税理士・H会員です!
――税理士になったきっかけを教えてください。
もともと税理士という職業を知らず、簿記も勉強したことがありませんでした。20歳を過ぎた頃、当時勤め先で経理事務をやっていた母親から、税理士という資格があるよ、挑戦してみれば?と言われ税理士という職業を知りました。そのときは、母の話に特段ピンとくるものがあった訳でもなかったのですが、就職をするのに資格があるといいかなと思いました。商業科などを出ていた訳でもなかったですし、まず簿記の資格をとらないといけないので、専門学校の全日制に通い始めました。専門学校では税理士試験の3科目を合格した段階で卒業を迎え、新潟市内の税理士事務所に就職することになったのですが、残りの2科目も合格して税理士の資格を取得して欲しいと勤務形態など支援していただけたおかげで無事試験に合格し税理士の資格を取得することができました(注1)。
勉強は大変だったかと言われると、そんなに苦ではなかったと思います。税理士になるという目標ははっきりしていましたし、何かを身につけるには努力が必要だと思いますので。最終的に合格したときは、とても嬉しかったことを覚えています。合格発表の日の朝にドキドキしながら出社したのですが、当時勤務していた事務所の方が、ネットで「官報」(注2)を見て、私の名前が載っていることに私よりも先に気づいてくれたんです。「H君、載ってるよ!」と。事務所の皆さんにとても期待していただいていたので、それに応える事が出来てとても嬉しかったです。
(注1)税理士試験に合格するには、会計科目2科目と税法科目3科目の計5科目に合格することが必要
(注2)5科目全てに合格すると、「官報」に合格者の氏名が掲載される
――そちらの税理士事務所にしばらくお勤めされた後、独立されたと聞きました。独立前の事務所には何年くらいおられて、どんなお仕事をされていましたか?また、独立して今何年目でしょうか?
前の事務所には、10年くらいお世話になりました。前の事務所でやっていた仕事は、基本的に法人の監査が多かったです。毎月会社に訪問して帳簿をチェックし、会社の方と業績の確認や今後の話をして、決算~税務申告をまとめるのがメイン業務でした。個人事業はあまり担当がなくて、メインは法人でした。業種は建設業、卸売業、医療法人など広く担当していました。独立は令和3年の10月ですので、開業して3年目に入りました。
――独立することに不安もゼロではなかったかと思いますが、当時どんな気持ちでしたか?そして、独立3年目の今はどんな気持ちですか?独立して良かったと思うこと、また逆に大変なことなどありましたら、教えてください。
私の場合は、30代のうちに挑戦してみたかった、というのがあります。事務所の立ち上げとか、色んな契約を自分で結んだりとか、そういう経験を積んでみたかった。自分が独立開業に向いている・向いてないというのも実際に体験して初めてわかることがあると思いますので。ちょうど年齢が30台の後半に差し掛かりましたので思い切って一度やってみて、もし失敗したら潔くどこかの事務所でまたお世話になろうと(笑)。自分の手持ち資金だけでやると決めていたので、借金はしないように自分の中で線引きしていました。3年目に突入する今、自分が独立・開業に向いているか向いていないかは、まだなんとも言えないです。自分で決めたことがすぐにやれてしまうというのは、個人的にはとても面白いと思います。組織の中にいると、当然そこのルールや他の人の価値観もあるので、思い立ってもすぐに実現できる訳ではありませんが、自分1人だと、思い立ったことは自分が動きさえすればすぐ実現できるのが面白いなと。
逆に大変だったことは、全てのことを自分でやらないといけないということです。総務とか事務的な部分や事務所の維持管理もすべて自分でやらなければいけません。事務所勤めをしていた頃は、いろんなことを他の人がやってくれていたおかげで自分の担当業務に専念できていたんだなとつくづく実感します。独立する前から分かることではありますが、そういったことも実際に体験できたことはとてもよかったなと思っています。
――独立して自分で事務所を構えると、多少自分の時間に融通がききそうなイメージもありますが、実際はプライベートと仕事の比率は、どんな感じですか?ご自分のやりたいペースでお仕事ができている実感はあるでしょうか?
やっぱり仕事がメインになってしまい、仕事8:プライベート2という感じでしょうか。どうしても仕事にのめり込みがちです。もともと働くことに充実感を感じていたのでそうなるだろうなとは思っていましたが、以前よりも仕事の比重は大きくなっているように感じます。残業時間なども気にせずに仕事に打ち込めてしまいますから。意識してプライベートを確保して休まないといけないなと感じ始めています。自分で働き方を決められるので、土日働いて平日休んだりとか、そういうことは自分でコントロールできます。急ぎの仕事がなければ思い切って休んじゃおうということもある程度は自由です。それが最初はそれがすごく新鮮な感覚でしたが、だんだん仕事の割合が増えてしまっているのでそれは少し改めないといけないかなと思っています。周りに人がいたほうがだらけずに働けるというタイプの人は、こういう働き方は向いていないかもしれないですね。私として今のところそれなりにうまくできているかなと思っています。これもやってみて初めて実感できたことですが、また人を雇ったりして環境が変われば、それに合わせて自分で変えていかなければいけないと思っています。
――税理士の仕事の中で、好きな仕事や、やっていてよかったと思う瞬間はありますか?
やっぱり監査で会社を訪問して経営に関して社長とか経理の方と話をするというのが面白いです。お客さんと一緒に考えて出した数字をもとに、設備投資や新規事業などの計画が動くこともありますので、自分の仕事がダイレクトに経営判断に影響しているなと感じます。少しでもお客さんの意思決定に役立つかたちにしたいと思って仕事をしています。決算で黒字だったり、目標が達成できてお客さんが喜んでいるのを見ると、とても充実感を感じます。1年を通じてそのお客さんに関わっている訳ですから。逆に業績が思わしくないと、もっと何かできることはなかったのかなと思ってしまいますね。
――逆に大変なこと、苦労していることはありますか?
税理士は中小企業の一番身近な相手だと思いますので、必ずしも税理士の仕事ではないことを頼まれたりすることもあります。プライベートな相談とか、もちろん信頼関係があるのが前提ですが、そういうことがちょっと大変というか困ることもあります。社長さんから従業員の愚痴をきいたり、逆のパターンもあったり。そういう人間関係のことなどでちょっとどうしたらいいか困ることもない訳ではないです。
――趣味やハマっているもの、お好きなものなどあったら教えてください。
趣味は、今のところはマラソンとゴルフです。体力づくりや健康管理も含め、マラソンはそれなりに長く続けていまして、もう7~8年でしょうか。コロナ前は、新潟シティマラソンのフルマラソンにも出場しました。ハーフマラソンが中心ですが毎年1つくらいは大会に出ています。ゴルフは始めてちょうど2年くらいになります。お客さんでゴルフを始めたいという方がいて、一緒にやらないかと誘われたのがきっかけです。そのお客さんとも年2、3回くらいは一緒にプレーしていますし、今年は税理士会のゴルフにも出始めたりしています。仕事が忙しくてあまり練習に時間が割けないのが悩みですが。少しずつ上達しているのが実感できるのが良いですね。ゴルフ仲間も増やしたいなと思っています。
――最後に、税理士という仕事に興味があるという若い方に向けて、メッセージをお願いします。
まず資格をとるという大変な作業はありますが、会社の経営に関われるというのはとても面白いことだと思いますので是非チャレンジしていただければと思います。たとえ自分自身で会社を経営する訳ではなくても、自分で起業するのが向いていなくても、誰かの経営をサポートできる仕事です。税理士の資格を持っていなくてもできることはたくさんありますが、資格を持っているからこそできることもあると思います。お客さんの信頼度も違ってくると思うので、どうせこの業界に入るのであれば、是非資格取得までチャレンジしてみてもらいたいなと思います。普通は経営者と直接話ができる機会ってなかなかないと思いますが、税理士事務所のメンバーであれば直接経営者と話ができます。大変ではありますが、やればやるだけ得られるものも増えると思います。会社のことだけでなく個人の相続や資産管理などお客さんの人生丸ごと相談を受けることも多いので、そういったことに応えることにやりがいがあると思います。
税理士という仕事は多様な働き方がやりやすいように感じています。独立して自分だけでやってもいいし、他の人(税理士、従業員)と一緒にやることもできます。勤務時間も遅い時間からスタートしてもいいし、逆に早くスタートすることもできると思っています。土日を営業日にして平日休みにすることもできます。そういった意味で、自分や家族の環境に合わせて割と多様な働き方ができるんじゃないかなと。そこが税理士という職業の魅力の一つかなと思います。